増刊号 輸血検査実践マニュアル
各論
輸血臨床
血液製剤の適応と適正使用
新鮮凍結血漿,アルブミン
髙本 滋
1
1愛知医科大学輸血部
pp.195-199
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903136
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はじめに
新鮮凍結血漿(fresh frozen plasma;FFP)およびアルブミンはヒトの血液のうち,ともに血漿に由来する血液製剤である.FFPが献血者1人1人から作製され,血漿製剤と呼ばれるのに対し,アルブミンは多くの献血者の血漿をプールしたものから分画作製されるもので,グロブリンと同様,血漿分画製剤と呼ばれる.原則として,FFPは凝固因子の補充を,一方,アルブミンは循環血漿量の是正,膠質浸透圧の改善を目的として使用される.
わが国の血液製剤に関しては昭和39年の閣議決定により献血が推進され,それまでの売血制度から預血制度へ,そして昭和49年には完全に献血制度に置き換わり,医療上の必要量を献血で賄うことができるようになった.しかし,昭和50年代半ばより血漿製剤および血漿分画製剤の急激な使用量の増大が大量の原料血漿あるいは製剤の輸入を導き,ひいては国内外からの倫理的批判を受けることとなった.このことが血液製剤の使用適正化の基準作成のきっかけとなったのは周知の事実である.以降,国内の供給の改善,HIVをはじめとするウイルス感染の危険性の認識などもあり,需給の状況は改善はしているものの,いまだに適正使用とは考えにくい使用が行われているのが現状である.特に,アルブミン製剤は多くの施設では薬剤部で管理されており,その使用についてはチェック機構が存在せず,野放しともいえる状況と考えられる.
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