輸血のきほん(4)
新鮮凍結血漿
比留間 潔
1
1東京都立駒込病院輸血・細胞治療科
pp.528-532
発行日 2004年3月10日
Published Date 2004/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100740
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わが国では,特に新鮮凍結血漿(fresh frozen plasma:FFP)が使われ過ぎといわれている.これは,赤血球濃厚液だけですむ場合でも,同時にFFPを併用する,いわゆる「抱合せ輸血」が大きな原因と思われる.しかし,FFPによって補充すべき主たる成分は血液凝固因子であって,その必要がない場合はFFPを用いるべきではない.FFPは,他の輸血用血液と同様に感染性および免疫性の副作用が不可避的であり,真に必要なときに限って使用すべきである.本稿では,FFPの適応と使用方法について解説する.
日本赤十字社から供給されるFFPの種類
FFPは抗凝固薬の入った全血を遠心し,上清の血漿成分を分離する方法と,血液成分分離装置で血漿部分を採取する方法で製造される.採血後6時間以内に-20℃以下で凍結保存され,有効期間は1年間である.日本赤十字社から供給されるFFPは,全血200ml由来の1単位製剤(約80ml),全血400ml由来の2単位製剤(約160ml),血液成分分離装置で採血された5単位製剤(約450ml)がある(図1).これらの製剤の特徴を薬価も含め表1にまとめて示した.
他の輸血用血液と同様ではあるが,B型肝炎ウイルス(HBV),C型肝炎ウイルス(HCV),ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に関しては,血清学的検査および,ウイルス核酸検査で陰性のものが供給される.このほか,HTLV-I抗体検査,梅毒血清反応,ALTなどの検査が行われ,安全性を確認して供給されるが,検査の限界があることも忘れてはならない.
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