徹底分析シリーズ 手術室の壁外へ:アウェイを戦う麻酔科調査兵団
巻頭言
豊田 浩作
1
1島根大学医学部附属病院 麻酔科
pp.981
発行日 2021年10月1日
Published Date 2021/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202092
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- 文献概要
人を捕食する巨人の脅威から逃れるために巨大な「壁」を築き,その中で暮らす人類。その人類と巨人との戦いを描いた作品『進撃の巨人』を読んだことのある諸兄姉もきっと多いことでしょう。壁の中の街では安全に暮らすことができますが,一歩壁の外に出れば,いつ襲いかかってくるかわからない巨人の脅威に常にさらされます。そして,人類の精鋭部隊である「調査兵団」は,巨人の謎を解き,壁から人類を開放するべく,果敢に壁外の荒野を進軍します。
われわれ麻酔科医の業務の多くは手術室内で行われます。高性能モニターや最新の医療機器に囲まれ,人的リソースも注ぎ込まれたこの環境は,いわば麻酔科医のホームであり,厳重に守られた「壁の中」にいるとも言えます。しかし一方で,麻酔科医を取り囲む職務環境は,以前よりもはるかに早く変化し,領域も拡大しています。かつては想像することさえもなかった,手術室外での新たなミッションに直面することもあるでしょう。今までの通常の院内急変対応に加え,内視鏡やカテーテル治療での鎮静管理,産科的出血や妊産婦の心肺蘇生。さらには院外に飛び出して,ドクターカーやドクターヘリでの初療,DMATとしての被災地医療支援,そしてさらには,テロや戦地における手術麻酔管理。ホームである手術室の「壁」を破り,新たな領域で戦うべく踏み出す時が,もう目の前に来ているかもしれません。
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“かつてのアウェイを新たなホームに”
“来たるべき近い将来,私たちが対面するであろう新たな世界へ”
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一足先に壁の外に踏み出し活躍している「麻酔科調査兵団」が見ている世界を覗いてみましょう。
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