徹底分析シリーズ 修正型電気けいれん療法と麻酔
巻頭言
末盛 泰彦
1
1福岡リハビリテーション病院 麻酔科
pp.1099
発行日 2019年11月1日
Published Date 2019/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201510
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- 文献概要
麻酔を通して他の診療科の新たな治療の創出にかかわり,その価値に触れることは,麻酔科医として働く醍醐味の一つと言える。それは外科系のみならず非外科系診療科との協業においても,例外とはならないはずだ。
精神科領域における薬物療法難治例や救急症例への「切り札」として知られるようになった修正型電気けいれん療法(m-ECT)。その最大の特徴は,電気的な侵襲に対して全身麻酔を行うことにある。外科手術と変わらない安全で確実な麻酔の遂行はもちろん,治療前後の患者評価や麻酔薬の選択,そしてスタッフ教育など,麻酔科医のミッションは多岐にわたる。実際,m-ETCにかかわって,急性期医療の担い手としての麻酔科医の知見が高く評価され,現場での大きな期待につながっていることを実感した。いささか勝手の違う精神科領域へ踏み込む戸惑いを差し引いても,意気に感じるには十分であった。何より,劇的な治療効果を目の当たりにして治療の価値を感じることはまさに,新たな角度からの麻酔の再発見である。
今回の徹底分析ではこのm-ECTについて,歴史的背景から麻酔のあり方,そして特有の合併症や今後の課題,さらには病院経営に与えるインパクトなどについて,各方面の先駆者に語っていただいた。より多くの麻酔科医に,この新たな醍醐味を味わってもらいたい。
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