徹底分析シリーズ 補助循環
劇症型心筋炎から心臓移植に向かう症例の検討—IABP,PCPS,IMPELLA,LVAD,RVADを含む症例
福嶌 五月
1
,
藤田 知之
1
Satsuki FUKUSHIMA
1
,
Tomoyuki FUJITA
1
1国立循環器病研究センター 心臓外科
pp.896-900
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201470
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
劇症型心筋炎は,原因不明の稀少致死的心疾患である。一般には,ウイルス感染などを契機に心筋組織に急性炎症反応が惹起され,それを主因として心機能が急激に低下した病態である。①血行動態的に心機能の低下による急性心不全,②心筋生検による心筋組織の急性炎症反応,から確定診断され,治療の対象は,急性心不全と心筋の急性炎症に大別されるが,その稀少性のために,特に心筋の急性炎症に関して明確なエビデンスに乏しいのが現状である。一方,急性炎症期を乗り越えると,心機能は回復し良好な予後が得られることもある。すなわち,本疾患は急性期治療の成否が特に重要である。
本稿では,劇症型心筋炎の急性期治療ついて解説するとともに,心機能の回復が十分に得られず,心臓移植適応とされた症例を呈示する。
Copyright © 2019, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.