特集 循環器の現場からの検証:そのエビデンスを日本で活用するには?
Ⅳ.心不全
IABP-SHOCKがもたらした衝撃,そしてImpellaはどう使われるべきか?
中田 淳
1
1日本医科大学付属病院心臓血管集中治療科
pp.116-124
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1438200233
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Point
・2013年に発表されたIABP-SHOCK Ⅱ Studyでは,ACSによる心原性ショック患者へのIABP留置が30日死亡率を減少させず,1年予後の改善をもたらさないという結果が示された.この結果を踏まえ,欧米ならびに本邦において,それまでclass Ⅰ(level evidence C)であったACSによる心原性ショック患者へのIABPのルーチンでの使用がclass Ⅲ(level evidence A)へ格下げされた.
・新しい循環補助デバイスImpellaによる循環補助は,左室内圧容量負荷減少による心筋酸素消費量の減少・心負荷軽減効果があり,IABP補助と比し,血行動態改善効果がある.
・しかしながら,遷延したショック症例,自己心拍再開が得られていない心停止症例,低酸素血症ならびに右心不全を合併している場合にはVA-ECMO(PCPS)での補助を優先することが望ましく,組織灌流・臓器保護,酸素化,心筋保護,右室補助,合併症,使用の煩雑性等の各々のデバイスの特徴を踏まえたうえで使い分け,あるいは組み合わせて使用する必要がある.
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