徹底分析シリーズ 日本版 敗血症診療ガイドライン2016—診療ガイドラインをどのように臨床に用いるか
DIC診断と治療—現状の把握と今後の課題
坂本 壮
1,2
So SAKAMOTO
1,2
1順天大学医学部附属練馬病院 救急・集中治療科
2西伊豆健育会病院 内科
pp.332-336
発行日 2018年3月1日
Published Date 2018/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201082
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播種性血管内凝固症候群disseminated intravascular coagulation(DIC)は,「種々の原因に続発する後天的な症候群であり,全身的な血管内凝固の活性化や微小血管障害を引き起こすことにより,重症化すれば臓器不全をきたす病態」とされる1)。治療の原則が基礎疾患の治療であることはいうまでもない。本稿で扱う敗血症におけるDIC診断と治療においても,敗血症の初期治療が適切に行われていなければ議論の価値はない。初期輸液や感染部位に対する適切なアプローチが重要なことは別項のとおりである。
DICは線溶抑制型と線溶亢進型に分けられるが,敗血症性DICは凝固の亢進によって線溶抑制型に分類され,多臓器への障害が著しく,予後は一般的に悪い傾向にある2)。そのため,日本では敗血症性DICに対して抗凝固療法が行われてきた経緯があるが,依然として確固たるエビデンスは存在しない。諸外国ではDICという言葉すら取り上げられずに今まで経過しているのが現状である。
本稿では,日本版敗血症診療ガイドラインThe Japanese Clinical Practice Guidelines for Management of Sepsis and Septic Shock(J-SSCG)20163)に取り上げられた五つのクリニカル・クエスチョン(CQ)をもとに,実際の敗血症性DIC患者に対する対応を考えたい。
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