連載 blockstories 超音波ガイド下末梢神経ブロック 実践49症例 その後
腰部脊柱管狭窄症患者の椎弓形成術—脊髄神経後枝を遮断するTLIPブロック
上嶋 浩順
1
1昭和大学病院 麻酔科
pp.996-999
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200973
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超音波ガイド下末梢神経ブロックの世界で今最も注目されているのは,脊髄神経後枝のブロックである。
脊髄神経は,椎間孔を出た後に前枝と後枝に分かれる。後枝はすぐに後方へ向かい脊柱起立筋の筋間を表層へ進み,背筋群と皮膚の感覚を支配する。したがって,脊髄神経後枝のブロックは,背側の正中から側胸部までの鎮痛を得ることが可能であり,脊椎手術などの鎮痛が適応である。
ブロック法にはretrolaminarブロック,erector spinae plane(ESP)ブロック,thoracolumbar interfascial plane(TLIP)ブロック,およびそれらの変法が報告されている。これらのブロックで面白いのは,その効果は脊髄神経後枝だけでなく,注入部位によっては前枝もブロックされ,広範囲の鎮痛を得られる可能性もあることである。このため今後,その適応は広がっていくと期待される。
本稿では,脊髄神経後枝のブロックのうち,浅層で確実にブロックできるTLIPブロックを紹介する。TLIPブロックは腰椎レベルで脊柱起立筋群(多裂筋を含めた横突棘筋群,最長筋,腸肋筋)の筋間に局所麻酔薬を投与する方法である。このブロックの効果は後枝領域に限定される。まずは脊椎手術にお試しいただきたい。
(森本 康裕)
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