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Orthopedic Surgery Volume 76, Issue 4 （April 2025）

臨床雑誌整形外科 76巻4号（2025年4月発行）

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連載最新原著レビュー

腰部脊柱管狭窄症を併存しない患者における頚椎椎弓形成術後の腰痛改善 Low back pain improvement after cervical laminoplasty in patients without tandem lumbar stenosis 林英樹 ¹ H. Hayashi ¹ ¹公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院脳神経外科 ¹Dept. of Neurosurg., Medical Research Institute Kitano Hospital, PIIF Tazuke-Kofukai Osaka キーワード： cervical myelopathy , low back pain , lumbar spondylosis , clinical characteristics Keyword: cervical myelopathy , low back pain , lumbar spondylosis , clinical characteristics pp.371-376

発行日 2025年4月1日 Published Date 2025/4/1

DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_371

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参考文献 Reference

【要　旨】

　目　的：頚椎椎弓形成術後の腰痛の改善に関して，併存する腰部脊柱管狭窄症（LSS）が与える影響を，臨床的特徴および手術結果を分析して示すことである．

　対象および方法：後ろ向きコホート研究で，頚部脊柱管狭窄症に対して頚椎椎弓形成術を受けた連続56例を分析した．年齢，性別，日本整形外科学会頚髄症治療成績判定基準（JOAスコア），JOA back pain evaluation questionnaire（BPEQ），visual analogue scale（VAS）のデータを収集した．腰痛がVAS 30以上の患者を対象とし，LSSの有無でLSS（＋）群とLSS（－）群に分けた．術前の臨床的特徴と術後の変化を両群間で比較した．

　結　果：術前の腰痛VASは，LSS（＋）群で50.7±16.2mm，LSS（－）群で59.8±19.5mmであった（p＝0.09）．LSS（－）群の患者は若く（57.6±11.2歳vs. 70.7±8.6歳，p＜0.001），JOAおよびJOABPEQで術前の腰椎症状が有意に軽度であった．LSS（－）群は術後の腰痛改善（18.3±26.4 vs. －8.3±37.6，p＝0.005）や腰椎機能の改善（10.8±25.7 vs. －2.0±22.5，p＝0.04）が顕著であり，腰痛のVAS（23.0±23.8mm vs. 5.3±25.9mm，p＝0.008）や殿部（お尻）・下肢痛（12.5±35.0mm vs. －4.3±24.4mm，p＝0.03）もより改善した．LSS（＋）群26例のうち9例が，2年間の経過で頚椎椎弓形成術後平均12.8±8.5ヵ月で腰椎手術を受けた．

　結　論：LSSのない患者では，頚椎椎弓形成術後に腰痛が改善する．