当世 問はずがたり
封建社会の中での自立
石黒 達昌
pp.712
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200911
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「強くさせようと思ったら,試合の行き帰りを自分でやらせることです」とは,息子が通うテニススクールのコーチが保護者に発した言葉です。みな一様に,自立がいかに大切かを納得したようでした。しかし,私はその言葉に首を傾げました。
というのも,ジュニア育成の先進国であるアメリカ(フロリダのIMGアカデミーの出身者には錦織やシャラポアなど,そうそうたるメンバーが並びます)で,ジュニアの一人行き帰りなどあり得ないことを知っているからです。車でなければどこへも行けないお国柄で,公共交通機関を使って行き帰りできるシチュエーションはかなり限定されていますし,うまくそれができたとしても,テキサス州では,12歳以下の子供を一人にさせること自体,法律違反なのです。小学生に鍵っ子などさせていたら,逮捕モノで,「初めてのひとりでお使い」といった番組の企画もあり得ません。だからこそアメリカではスクールバスなのです。
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