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The New England Journal of Medicine
Editorial:
Tobian AA, Ness PM. Red cells-aging gracefully in the blood bank. N Engl J Med 2016;375:1995-7.
Article:
Heddle NM, Cook RJ, Arnold DM, et al. Effect of short-term vs. long-term blood storage on mortality after transfusion. N Engl J Med 2016;375:1937-45.
■赤血球液の保存で何が起こるか?
赤血球液の有効期限がどのように決まっているかをご存じだろうか?日本では日本赤十字社から供給される赤血球液の有効期限は採血後21日となっている。保存液にはCPD(citrate, phosphate, dextrose)液とMAP(mannitol, adenine, phosphate)が用いられている。自己血貯血でMAP保存液を使用した場合の有効期限は採血後42日となっている。日本赤十字社が有効期限を21日としたのは,長期保存によりエルシニア・エンテロコリチカ菌による汚染例が発見されたためである。エルシニア・エンテロコリチカ菌は,低温でも増殖可能な好冷菌であり,保存3週間目頃よりエンドトキシンが高濃度に産生され,輸血した場合にはエンドトキシンショックを起こす。海外でのエルシニア・エンテロコリチカ菌汚染事故の多くは,採血後21日以降の血液を輸血した際に発生していることから,日本での有効期限は21日とされた。米国での有効期限は採血後42日となっている。6週間保存後の赤血球-MAPを輸血し,24時間後に検討した赤血球生存率は80%程度と報告されている。
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