はへほ調music scene
ベートーヴェン 交響曲第2番 ニ長調 作品 36
2番潜似
pp.80-81
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200761
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このところ長大なオペラや室内楽の小品ばかりが続いたので,2016年7月号「ハンス・ロット 交響曲第1番」以来,久々の交響曲である。歌手や独奏者が己の美声や演奏技巧を披露するオペラのアリア,協奏曲と異なり,交響曲は演奏する側,聴く側の双方にいつも楽しみばかりを提供するとは限らない。ドボルザークの交響曲「新世界より」はその第4楽章で,全曲を通して一回だけシンバルが鳴ることで有名だが,金管最低音を受け持つチューバ奏者も第2楽章のたった9小節しか出番が無い。楽団員のギャラが,演奏時間,あるいは実際に演奏した音符の数によって決められるかは定かでないが〔LiSA珍コラムの稿料は2文字9円,そこらのブラック企業も卒倒する価格破壊である(編集部注:実際の稿料算出にはもっと高度な演算処理を行って…)〕,ブルックナーの交響曲で弱音のトレモロを延々弾かされて腱鞘炎必発のヴァイオリン奏者と,下手をすると聴衆より早く居眠りして結局一つの音も出さずに帰宅の途につくチューバ奏者の給料が同じとは,オーケストラに人生の縮図を見る思いである。
昨年1月号で取り上げた「マーラー 交響曲第6番」は,フィナーレで巨大な木製のハンマーが打ち下ろされるが,奏者はコンサート本番に向け,連日自宅の庭で薪割りに精を出しているのだろう。ガテン系丸出しの姿を見た近所の人は,間違っても音大卒のオーケストラ団員とは思わないはずである。
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