はへほ調music scene
ショスタコーヴィチ 交響曲第7番 ハ長調 作品 60
惨苦吐屁照侮留駆
pp.288-289
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200530
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本コラム1月号「マーラー 交響曲第6番」で取り上げたように,あくまで「コンサート後」が目的で演奏会場に足を運ぶ御仁は別として,人は実演に何を求めるのだろう? 古今東西の名曲には,すでに珍解説済のマーラー「第6」や,チャイコフスキーの「悲愴」に代表される,きわめて陰鬱に閉じられる音楽も確かに存在する。しかし,実際は長調で肯定的に終わる楽曲が多い。
作曲者の存命中は世に出ず,遺稿を発見したシューマンが「天国的な長さ」と賞賛して代表作の一つとなったのはシューベルトの交響曲「ザ・グレート」である。後期ロマン派以降の作品にはもっと演奏時間の長い曲があるのに,「ザ・グレート」は31歳で早逝した天才の交響曲だけに特別に与えられた愛称である。病弱を絵に描いたようなシューベルトの曲が,プロレスラー「ザ・グレート・カブキ」の入場テーマに選ばれなかったのが残念でならない。この「ザ・グレート」,第2楽章以外はすべてハ長調という,きわめて能天気な曲であるが(筆者の脳裏には知人の編集嬢が浮かぶが,これ以上のコメントは差し控えるのが「世渡りの知恵」というものである),短調で始まっても,明るい長調に回帰して大団円を迎える曲も数多くある。
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