はへほ調music scene
ハンス・ロット 交響曲第1番 ホ長調
不遇戴天
pp.676-677
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200619
- 販売していません
- 文献概要
驚いたことにこの「はへほ調music scene」,連載開始から早くも15回目を迎えたが,どうして“音楽の父”ヨハン・ゼバスティアン・バッハや,“交響曲の父”ハイドン,そして“神童”モーツァルトの名曲が取り上げられないのか,不満に思っている読者もいることだろう。日頃から誰に感謝されるわけでもなく,十年一日の如く管の出し入れに勤しんで陽の当たらない道をトボトボ歩んできた筆者には,検定済教科書に堂々と載るような作曲家は無縁の存在である。
音楽も文学も,時代の先を行く作品が同時代の人々に理解されないのは世の常である。今まさに読者の眼前に展開するこの文章も,あと百年も経てば「再評価」の機運が高まることだろう。ブルックナーやマーラーの交響曲も初演当時は聴衆や批評家の嘲笑を買った作品が少なくない。マーラーの「今に私の時代が来る」という予言は現実となり,彼の作品は今や世界中の一流オーケストラに不可欠なレパートリーとなっている。偉大な作品を聴く耳を持たなかった批評家達は,マーラー音楽の隆盛をどう思っていることだろう。口さがない某編集嬢にも,本連載の真価を知る日が訪れることを祈りたいものである。
Copyright © 2016, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.