症例検討 よくあるトラブルを乗り越えよう 3
片肺換気にならず患側肺が膨らんでしまう—見えているそこは本当に目指す気管支か?
石川 晴士
1
Seiji ISHIKAWA
1
1東京医科歯科大学医学部附属病院 麻酔・蘇生・ペインクリニック科
pp.388-390
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200192
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症例
58歳の女性。身長157cm,体重95kg。肺癌に対して胸腔鏡下右上葉切除術が予定された。全身麻酔導入後に,左用ダブルルーメンチューブを挿管した。胸壁が厚いためか呼吸音を聴取できず,気管支鏡を用いてチューブの位置確認を行った。左側臥位に体位変換後,気管支鏡を用いてダブルルーメンチューブの位置を再度確認した。手術開始時に左肺に対して片肺換気を開始したところ,経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)が急低下し,あっという間に90%になってしまった。吸入酸素濃度を80%から100%に上げ,用手的にリクルートメント手技を行ったが事態は改善されず,SpO2は80%を割ってさらに下がり続けた。一方,術者からは,右肺が換気されており手術ができないといわれた。さあ,どうする?
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