Japanese
English
綜説
片肺換気
One Lung Ventilation
安本 和正
1
Kazumasa Yasumoto
1
1昭和大学医学部麻酔科
1Department of Anesthesiology, Showa University School of Medicine
pp.333-342
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901033
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片肺換気は,1992年Jacobaeusが気管支鏡を用いて一側肺の機能を研究するために,左右の肺を分離してそれぞれの流量を測定したことに始まる.一方,開胸手術中に人工呼吸を行うと,換気による肺の動きが外科医の手術操作を妨げるため,手術側の肺の動揺をなくすことを目的として,片側肺換気が行われている.ダブルルーメンチューブ(DLTと略す)を挿管し,手術操作中は術側肺を換気しないで虚脱させると,手術操作は極めて容易になる.片肺換気麻酔は,静止した手術野の確保により手術時間が短縮するだけでなく,健側肺を保護するため肺合併症の発生率が低下するという利点もあり,現在肺や食道の手術例には本換気法が多用されている.
この換気法は手術中だけでなく呼吸不全患者への人工呼吸法として実施されるようになってきた.病変が一側肺に限局する呼吸不全例に対しては,片肺を換気するだけでなく,左右の肺を全く異なった条件により換気する左右肺独立換気法(dependent lung ventilation;DLV)が行われている.
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