徹底分析シリーズ 非がん性痛に対するオピオイド
非がん性痛に対するオピオイドの効果—長期投与のエビデンスがないなか,どう使うのか
佐藤 仁昭
1
,
高雄 由美子
1
SATO,Hitoaki
1
,
TAKAO,Yumiko
1
1神戸大学大学院医学研究科 外科系講座 麻酔科学分野
pp.228-233
発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200146
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2010年1月にフェンタニル貼付剤が非がん性慢性痛に対し適応となり,日本においても非がん性慢性痛患者に対する強オピオイドの処方が可能となった。慢性痛に悩む患者に対する治療の選択肢が増えたことは非常に喜ばしいことである。しかし一方で,オピオイドが日本社会で氾濫する危険を同時に抱えたことになる。非がん性慢性痛患者に対するオピオイド処方の問題点は,大きく二つある。一つ目は,長期投与のエビデンスがないことである。術後の急性痛やがん性痛といった限られた期間の処方と違い,慢性痛患者への投与は長期間に及ぶ可能性があるが,オピオイドの長期使用が慢性痛に対して有効であることを明らかにした研究は今のところない。二つ目は,乱用の問題である。オピオイド先進国である米国では,乱用abuseと誤用misuseにより,オピオイドによる死亡者数が増加しており,日本でも同様の危険性が危惧される。
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