徹底分析シリーズ 痛み治療の素朴な疑問に答えます
変形性膝関節症にヒアルロン酸の関節内注入は推奨しないって本当ですか?グルコサミンの内服投与は効果があるのですか?
伊達 久
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Hisashi DATE
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1仙台ペインクリニック
pp.10-13
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200090
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高齢者の膝痛の原因の多くが変形性膝関節症(膝OA)であり,薬物療法として非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服や湿布,ヒアルロン酸の関節内注入などが行われていることが多い。それと並行して大腿四頭筋訓練などの運動療法やホット・パックなどの温熱療法,また,いわゆる「電気」と呼ばれる物理療法などもよく行われている。患者によっては,テレビのCMなどで有名なグルコサミンの内服を行っていることもある。このような治療法が今まではどこでも行われていた。ところが,そのような治療法に国際的なガイドラインが待ったをかけた。
2013年6月米国整形外科学会American Academy of Orthopaedic Surgeons(AAOS)は膝OAに関するガイドラインを改訂した1)。主な変更点の一つは「ヒアルロン酸の関節内注入は膝OA治療法として推奨されない(推奨度:強)」である。また国際変形性関節症学会Osteoarthritis Research Society International(OARSI)でも,ヒアルロン酸関節内注入に否定的な見解2)となった。このように,海外ではヒアルロン酸の関節内注入が推奨されていないことを知らない日本のペインクリニシャンは多いと思われる。今まで行われてきたヒアルロン酸の関節内注入は本当に推奨されないのであろうか?また,グルコサミンの内服は本当に効くのであろうか?
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