症例検討 緩和医療
スピリチュアルペインを訴える患者—治すことができない患者は多いが,ケアできない患者はいない
山田 圭輔
1
Keisuke YAMADA
1
1金沢大学附属病院 麻酔科蘇生科
pp.1102-1107
発行日 2014年11月1日
Published Date 2014/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200052
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症例
58歳の男性。身長170cm,体重65kg。3年前に直腸がんに対して低位前方切除術が行われた。背部痛を生じたことから多発脊椎腫瘍を指摘され,直腸がんの転移ならば生命は長くないと言われ,強いショックを受けた。外科医からオキシコドン徐放性薬(20mg/日)と速放性薬(5mg/回)が処方された。生検の結果,脊椎腫瘍は悪性リンパ腫と診断され,血液内科で化学療法を開始し,寛解状態となった。背部痛も減少し,オキシコドン徐放薬を中止した。しかし,患者は「リンパ腫の治療をしているときのほうが不安は少なかった。寛解となりありがたいが,逆に自分に対する無力感と不安を強く感じるようになった」と訴えるようになった。内科医から,患者のこころの苦痛にどのように対応すればよいのだろうかと相談を受けた。
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