特集 緩和医療
治療 緩和ケアのbest practice
スピリチュアルペイン
大谷 弘行
1,2
1雪の聖母会聖マリア病院
2国立病院機構九州がんセンター緩和ケア科
キーワード:
▶スピリチュアルペインは,生きる意味など答えのない問いに揺さぶられる苦悩である.
,
▶それは病や死を前に鋭く現れるが,誰もが経験しうる普遍的な苦しみである.
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▶医療者にできるのは「わかったつもりにならない」姿勢で寄り添うことである.
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▶聴くのは理解のためではなく,相手の語りをそのまま受け取るためである.
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▶マイナスの気持ちを否定せず受け止めることが誠実なケアの第一歩である.
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▶スピリチュアルペインの背景には,身体的・精神的・社会的苦痛が潜むことが多い.
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▶解決可能な苦痛を取り除くことは,深いスピリチュアルペインに向き合う土台となる.
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▶過去の歩みをともに振り返り,生き抜いた力を言葉にすることで希望が芽生える.
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▶存在そのものを支える関わりは,患者が「ここにいてよい」と思える基盤を回復する.
Keyword:
▶スピリチュアルペインは,生きる意味など答えのない問いに揺さぶられる苦悩である.
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▶それは病や死を前に鋭く現れるが,誰もが経験しうる普遍的な苦しみである.
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▶医療者にできるのは「わかったつもりにならない」姿勢で寄り添うことである.
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▶聴くのは理解のためではなく,相手の語りをそのまま受け取るためである.
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▶マイナスの気持ちを否定せず受け止めることが誠実なケアの第一歩である.
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▶スピリチュアルペインの背景には,身体的・精神的・社会的苦痛が潜むことが多い.
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▶解決可能な苦痛を取り除くことは,深いスピリチュアルペインに向き合う土台となる.
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▶過去の歩みをともに振り返り,生き抜いた力を言葉にすることで希望が芽生える.
,
▶存在そのものを支える関わりは,患者が「ここにいてよい」と思える基盤を回復する.
pp.275-279
発行日 2026年2月1日
Published Date 2026/2/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.43.02_025
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はじめに
スピリチュアルペインは決して特別なものではない.人生の転機に進路や人間関係に悩み,「自分とは何者か」と模索した経験は誰にでもあるだろう.人は生きる限り,「何のために生きているのか」「なぜ苦しみに向き合わねばならないのか」「死んだらどうなるのか」と問いを抱える.この問いは日常では意識されにくいが,病や死を前にすると鋭い苦悩として立ち現れる.例えば,抗がん治療の限界を告げられた患者が「これまで生きてきた意味は何だったのだろう」と語るとき,あるいは若くして難病を患った人が「なぜ自分だけが」と涙するとき,そこには身体的苦痛とは異なる次元の苦悩が現れている.これこそがスピリチュアルペインであり,「生きる」という営みに根ざした普遍的な苦悩である.臨床において,この苦悩に直面したとき,どう見立て,どう関わるかは医療者にとって避けられない課題である.人生の意味や希望,死生観を支えることは容易ではないが,それこそが最も人間的な関わりを求められる営みである.スピリチュアルケアは特別な技法ではなく,日常の対話や関わりの延長に芽生える.本稿ではアセスメントの視点と具体的な工夫を提示し,医療者が臨床と存在意義を問い直す契機としたい.

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