連載 当世 問はずがたり
変革か変更か
石黒 達昌
pp.297
発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102085
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- 文献概要
私の所属していた外科の医局では,週に3回,「おかわり」と呼ばれる朝の術前術後カンファランスがありました。「おかわり」とは,司会者がその日の当直に「おかわりありませんでしたか?」と問いかけるところに由来したそうですが,いつしかその部分はなくなり,一人の患者の術前報告が術後報告にすり「かわる」場となっていました。スタッフや上席医の目はとても厳しく,発表に少しの矛盾でもあれば,集中砲火を浴びることもしばしばで,内向きにエネルギーを集中しなければならず,学会や論文といった外向きの発表まで気力が回らなかったほどです。
当然,世間の雑事に惑わされることなく,雨の日も雪の日も変わらず開かれていたのですが,私の記憶するかぎり,たった1回だけ,中断されたことがあります。突然,司会者がテレビを見ようと言い出し,教授もそれを認めたのは,あの野茂がメジャーのオールスターで先発し,記念すべき第一球を投げた時のことでした。
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