特集 これからの保健所と保健婦
Ⅰ保健所の現状と将来
社会変革と保健婦
水野 宏
1
1名古屋大学医学部公衆衛生学
pp.6-8
発行日 1968年3月10日
Published Date 1968/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204128
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はげしい社会の変貌
日本の社会はいま,かつて見ないはげしい変貌をとげつつある。都市への人口集中はもっともいちじるしい特徴で,京浜,中京,京阪神をむすぶ東海道から瀬戸内海沿岸にかけては,とりわけ人口増加がはげしい。このような傾向が今後もつづくとすれば,30年後にはこの地域を含む都府県の人口は50%増加し,全国人口の67%をしめるようになるであろうといわれ,東海道メガロポリスと呼ばれる巨大な帯状都市の出現が予想されている。
このような人口移動の当然の結果として都市の人口過密はいよいよはげしくなるであろうが,一方この地域を除く28県の人口は減少の一途をたどり,多くの町村においては,社会生活を営むに必要な最少限度の人口すら維持できない部落が生じ,やがては部落の消滅という現象が激増する可能性をはらんでいる。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.