連載 ヒューストン留学記(その後)
夜ひらく夢金で買える夢
石黒 達昌
pp.1154-1155
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101987
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この夏,家族でシンガポールに旅行してきました。実は,日本以外のアジアの国に行くのはこれが初めてだったのですが,最も印象に残ったのは世界三大残念像の一つ,口から噴水を吐いているシンガポール建国のシンボル・マーライオン,ではなく,最終日の前の晩に行った中華料理レストランのメニューにあった一皿120万円也の日本産アワビ料理でした。
後学のためどんなものか好奇心丸出しでウエイトレスに尋ねると,エクストラに大きく(と言っても,指で作って見せてくれたのは直径30cmくらいなものでしたが),2,3か月に1度,数人でシェアする形でのオーダーがあるのだとか。まあ,それほど味に差があるとも思えませんから,注文する人はある種の幻,夢を買うのだろうと,食べられないブドウは苦いはずだと嘯くキツネよろしく,納得したわけです。それにしても,今は希少なオオクワガタもある限界を超えると1ミリ単位で値段のケタが変わるらしいので,人間はつくづく偏差値の高いものを求める生き物だなと思います。
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