徹底分析シリーズ 静脈血栓塞栓症
術前から静脈血栓塞栓症がある場合の対処法―数多いリスク因子を総合的に評価し,積極的に抗凝固療法を導入する
椎名 昌美
1
,
保田 知生
2
Masami SHIINA
1
,
Chikao YASUDA
2
1近畿大学医学部堺病院 産婦人科
2近畿大学医学部 外科学教室
pp.540-545
発行日 2013年6月1日
Published Date 2013/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101840
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2004年発刊の「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン」1)(以下,VTE予防ガイドライン)では,治療を要する静脈血栓塞栓症(VTE)が既に認められる症例の予防(二次予防)に関しては言及されておらず,施設ごとの対応が必要な状態が続いている。術前にVTEが検出されたとき,どのように対応したらよいのか,欧米のガイドライン2)をみても,無症候の術前VTEの概念がなく,不明点が多い。欧米では,このようなリスクをもつ症例は,術直前からの抗凝固薬の投与が可能なように準備されているためと考えられる。
術前からVTEを認める症例に対し,管理をせずに手術を行うことは,VTE発症の危険性を増加させることになる。本稿では,術前VTEの検出方法と,検出した際の対応について概説する。
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