連載 ヒューストン留学記(その後):77
「“気配り”をしないという気配り」をする気配り
石黒 達昌
pp.319
発行日 2013年3月1日
Published Date 2013/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101789
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今では,医療もサービス業だという認識は当たり前ですが,私がまだ駆け出しだった頃は,それってどうなの?の時代でした。当然のように患者と医者のトラブルは頻発したわけで,その責任を一身に負っていた,どこか故フセイン大統領の面影がある病棟医長は,いつも疲労困憊の極にあり,患者と医者,そのうえに教授と医局員の狭間で,いつしか眉間にしわが固定し,「大変だよ」が口癖になってしまっていたのでした。
ピラミッドの底辺にいた私は,なんであんなに騒ぐのだろうと,のんきに構えていましたが,いざ自分が指導医の立場になってみると,フセイン先生は百パーセント正解で,トラブルの芽を未然に防ぐにはそれくらいじゃなきゃダメだ,としみじみ実感することになります。あの薫陶のおかげで,私もかなりの「うるさ型」になれたのでは……。
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