徹底分析シリーズ デスフルラン1
デスフルランを用いた肝移植術の麻酔―貴重な移植肝だからこそ,悪影響の少ない麻酔薬の選択を
小幡 典彦
1
,
佐藤 健治
1
Norihiko OBATA
1
,
Kenji SATO
1
1岡山大学病院 麻酔科蘇生科
pp.48-52
発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101726
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当施設では,年間20~30例の肝移植術が施行されている。これまで,当施設における肝移植術の麻酔管理では,使用可能な吸入麻酔薬のなかで代謝率が0.2%と最も低いイソフルランが頻用されてきた。吸入麻酔薬は,そのほとんどが代謝されることなく,呼気から排出されるものの,一部は肝での代謝を受ける。代謝産物による肝障害の報告もあり,注意が必要である。
デスフルランの代謝率は0.02%と,イソフルランよりさらに低く,肝機能障害をもつ患者では使用しやすい。また,デスフルランは,血液/ガス分配係数が小さく,麻酔からの覚醒が早いことも特徴である。最近では,肝移植術においても,手術室で抜管することは珍しいことではなくなっており,良好な覚醒が得られやすいデスフルランの使用頻度は増加するものと予想される。
本稿では,肝移植術におけるデスフルランの使用経験と,知っておくべき一般的な知識について述べる。
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