徹底分析シリーズ 脳死ドナー発生!臓器摘出術をマネージメントせよ
法的脳死判定―臓器提供における意思の確認を含めて
中村 俊介
1
,
有賀 徹
1
Shunsuke NAKAMURA
1
,
Tohru ARUGA
1
1昭和大学医学部 救急医学講座
pp.1032-1035
発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101644
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「臓器の移植に関する法律」の一部改正(改正臓器移植法)1)が2010年7月に施行されてから2年あまりが経過した。臓器移植法が1997年に施行されてから改正臓器移植法が施行されるまでの約13年間で86件(0.6件/月)だった脳死下臓器提供は,2年間で92件(3.8件/月)と大きく増加した。
しかし,その一方で,心停止後の献腎は減少しており,臓器提供そのものの総数はそれほど増加していない2)。また諸外国と比較すると,依然として人口当たりの臓器提供数は少ない状況にある3)。臓器提供数が日本より多い諸外国においては,ドナー数増加を意図して,集中治療に従事する医療者に対する意識改革,教育,支援する仕組みの整備など,さまざまな取り組みが行われている。
日本においても同様の取り組みが必要であるが,それは臓器提供数増加のみが目的ではない。日本の臓器移植法の第2条に示される「死亡した者が生存中に有していた自己の臓器の移植術に使用されるための提供に関する意思は,尊重されなければならない」という基本的理念,すなわち法本来の主旨を損なわないためにも,救急医療ならびに集中治療にかかわる医療者が臓器提供や法的脳死判定について十分に理解することは,重要で不可欠なことである。
本稿では,2011年3月に発表された『臓器提供施設マニュアル』4),『法的脳死判定マニュアル』5)をもとに,まず脳死とされ得る状態となった患者における臓器提供意思の確認方法について,その後に法的脳死判定,臓器提供施設の基準について解説する。
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