症例検討 経尿道的泌尿器科手術の麻酔
巻頭言
紙谷 義孝
1
1横浜市立大学医学部 生体制御・麻酔科学/神経解剖学
pp.967
発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101629
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- 文献概要
経尿道的泌尿器科手術は,手術時間が比較的短いことと,低張性の膀胱内灌流液が使用されることから,いわゆる「水中毒」の発症が懸念されるため,脊髄くも膜下麻酔で行われることが前提と考えられてきた。しかしながら,デバイスの進歩により,必ずしも水中毒を心配しなくてもよくなりつつある。
一方,医療水準の進歩,高齢化の進行によって,種々の合併症を有した患者に対して経尿道的泌尿器科手術が予定されることも多くなってきた。これまでは,脊髄くも膜下麻酔や閉鎖神経ブロックの格好のトレーニング機会と考えられてきた経尿道的泌尿器科手術であるが,なぜ脊髄くも膜下麻酔なのか,その理由を基本から考えなおして麻酔法を計画することも必要となっている。
本症例検討では,泌尿器科医から最新の治療デバイスと,麻酔科医に対する要望を提示している。そして麻酔科医から,膀胱腫瘍,前立腺肥大症に対する麻酔と,合併症を有する患者に対する麻酔戦略を紹介している。麻酔科医としてのトレーニング途上にある方ばかりでなく,経尿道的泌尿器科手術を「いつもの,ありふれた手術」と考えがちなベテランの方にもぜひ読んでいただき,最新の治療トレンドの俯瞰に役立てていただきたい。
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