徹底分析シリーズ これからの末梢神経ブロック
巻頭言
柴田 康之
1
1名古屋大学医学部附属病院 麻酔科
pp.669
発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101566
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- 文献概要
自分の手技をその場で客観的に評価できる超音波ガイド下末梢神経ブロックは,あらゆる世代の麻酔科医を魅了した。「定年までの数年間,麻酔が楽しくなったよ」とプローブを握るベテラン麻酔科医,DSやプレイステーションと同じ感覚で,手元を見ることなく,巧みにプローブと針を操作する若手麻酔科医。この新時代を画する鎮痛手段は,今や導入期から普及期に移行し,われわれを取り巻く環境も,大きく変化している。導入期には興味のある者だけが行っていればよかった手技が,普及期に入り,麻酔科医ならば身につけるべき技術の一つになり,その教育方法が問題となっている。
手技的な面が注目されがちであるが,基本となる知識が求められるのは言うまでもない。神経内注入は,長らく,神経障害を引き起こすとされてきたが,意図的な神経内注入の安全性が報告され,再考が迫られている。術後神経障害が発生したときには,その原因を同定するために,神経診断学の知識も身につけておかなければならない。製薬会社も新しい長時間作用型局所麻酔薬を市場に投入しており,従来の長時間作用型局所麻酔薬との使い分けも重要になっている。医療機器メーカーも,新しいデバイスを次々と導入してきており,日々,手技の簡便性が向上しているが,それらの特徴を理解しておかなければ,宝の持ち腐れである。
本徹底分析では,このような普及期にある超音波ガイド下末梢神経ブロックの環境のなかで押さえるべきテーマを取り上げた。これから超音波ガイド下末梢神経ブロックに取り組みたい麻酔科医の一助になれば幸いである。
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