徹底分析シリーズ 3.11から学ぶ
福島医大被曝医療班の活動―communicationとeducation
長谷川 有史
1
HASEGAWA, Arifumi
1
1福島県立医科大学附属病院 被曝医療班
pp.220-226
発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101469
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原子力災害において,震災前のわれわれに不足していたもの,それは原子力災害や放射線事故対応に必要とされる「コミュニケーションcommunication」と「エデュケーションeducation」だった。そしてこれは,医療全般においても危機的状況に直面したときに必要なものである。
未曾有の大災害が起きた。地震,津波により福島でも多くの尊い命が奪われた。そして原子力災害,情報災害が追い打ちをかけた。その影響は根深く,現在も多くの住民が避難生活を余儀なくされ,低線量の放射線影響に不安を感じている。“Step 2冷温停止状態達成”,その現実は,循環注水冷却のホース1本に日本の将来が託された,なんとも頼りない状況なのだ。
今回の複合災害でわれわれにできたことは,多くの方々の力を借りて直面する問題に対峙することだけだった。再び同様の事象が発生したとき,いかに行動すべきか,突然の大災害に遭遇した医療者が何を感じたのか,何が足りなかったのか,本震災から学ぶことは何か,当時の記憶をたどり考察することは,医療者の一人としての責務と感じている。
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