境界領域/知っておきたい
医療放射線被曝
船尾 陽生
1,2
,
石井 賢
1,2
Haruki FUNAO
1,2
,
Ken ISHII
1,2
1国際医療福祉大学医学部整形外科
2国際医療福祉大学三田病院脊椎脊髄センター
pp.500-505
発行日 2019年5月25日
Published Date 2019/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201366
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はじめに
整形外科領域では,脊髄造影や神経ブロック,骨折や脱臼の整復操作,骨折接合術,また人工関節手術や脊椎手術などにおいてX線透視が広く利用されている.その他,各種血管内治療や消化器・泌尿器疾患などの診断や治療においても必要不可欠である.医療放射線被曝は,主に患者側と医療従事者側の被曝に大別され,患者側の被曝ではCTによる診断被曝が多く,医療従事者側ではX線透視による職業被曝が多い.国際放射線防護委員会(International Commission on Radiological Protection:ICRP)では,「正当化・最適化・線量限度」を放射線防護の3原則とし,患者側では主に「正当化・最適化」が適用され,医療従事者側では「線量限度」が適用される.過剰な放射線被曝による医療従事者の身体への影響が懸念されるため,職業被曝の限度はICRPで明確に定められている.
本稿では,主に脊椎手術における医療従事者の術中被曝の実際について述べ,適正使用のための放射線被曝の低減化対策についても触れたい.
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