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近年,日本においてもRRSの導入を試みる動きが散見される1)。RRSの効果は,現在のところ強いエビデンスが示されているわけではない2)。オーストラリアでは,2005年にMET導入の効果について初めて大規模な研究3)が行われた。この研究では,心停止,緊急ICU入室,予期せぬ死亡者数を有意に減らすことはできなかった。それでも米国では,2005年1月からの「100K Lives campaign」4)と2006年12月からの「5 million Lives Campaign」5)でRRSの導入などによる院内心停止の減少を目指した政策が推進されてきた。日本でも,2008年から医療の質・安全学会が中心となって推進しており,医療安全全国共同行動の九つの行動目標のうちの一つが“急変時の迅速行動”であり,RRSの確立を提案している6,7)。
RRSは,患者に通常と違う症状が見られたときに活動を開始し,致死性の急変に至るのを未然に防ごうとするシステムであり,いわゆるCode blueとは一線を画す。北里大学病院には,2011年6月時点では正式なRRSは存在しない。しかし,予期せぬ急変・死亡を防ぐために,すでに活動しているRespiratory Support Team(RST)のラウンドを急変察知に活かせないかと考え,それに類似した活動をしてきた。
本稿では,当院の例をもとに,日本にとって理想的なRRSの構築について述べる。なお,本稿のRRSに関する用語や定義は,2005年6月に開催されたInternational Conference of Medical Emergency Team(ICMET)8)の概略にもとづき使用する。また,語句の混同を整理するためにも,図1に当院の理想とする院内急変対応を示す。
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