症例検討 術後鎮痛
術後鎮痛の意義と方法:患者には鎮痛を受ける権利がある術後痛治療は麻酔科医として当然
若崎 るみ枝
1
,
比嘉 和夫
1
WAKASAKI, Rumie
1
,
HIGA, Kazuo
1
1福岡大学医学部 麻酔科学
pp.250-253
発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101170
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手術患者の多くは,術前から術後の痛みを心配している。患者の痛みを治療することは,医師として当然であり,患者には鎮痛を受ける権利がある。そして,術後痛を治療することで,患者の術後経過に対する満足度が向上する。
手術による組織損傷で,サイトカインが放出され,侵害受容痛が発生する。この痛みにより,内臓機能の低下や凝固系の異常,交感神経の興奮が起こり,術後合併症の発症につながることがある。術後鎮痛は,内臓機能の低下を最小限にし,早期離床を可能にし,合併症を予防することで予後を改善させる。
術後鎮痛には多くの方法がある。硬膜外鎮痛法,静脈内鎮痛法,自己調節鎮痛法に加え,持続末梢神経ブロックを行う症例も増加している。肺塞栓の予防として術後抗凝固療法を行う症例もあり,麻酔科医はさまざまな鎮痛法を用いて術後鎮痛を行うことが求められている。
本稿では,術後鎮痛の意義と方法について記載する。
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