ミニ特集 呼吸モニタリングは麻酔科医の基本です
質の高い術後鎮痛を目指そう
井上 莊一郎
1
1聖マリアンナ医科大学 麻酔学教室
pp.364-368
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200548
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術後鎮痛において,オピオイドの静脈内投与や硬膜外投与の有効性は明らかであるが,その弊害にも注意したい。オピオイドは術後悪心・嘔吐の危険因子であり,これは痛みに匹敵する苦痛であるばかりでなく,術後経過を遅らせる原因にもなる。また,術後鎮痛のためにオピオイドが投与されている患者の呼吸抑制による死亡や低酸素脳症は,海外では以前から報告され,近年,日本でもいくつかの事例が報道されている。そして,これらの弊害を考慮して最近は,オピオイドの投与量を少なくすることが術後鎮痛の世界的な潮流となっている。
本稿では,オピオイド投与による呼吸抑制の原因の一つとなる術後鎮痛に関連するエラーに焦点を当て,質の高い術後鎮痛を行うにはどのような対策があるのかを述べる。
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