徹底分析シリーズ 体内時計:その時計はクオーツ?それとも振子?
巻頭言
木下 千智
1
,
中木 敏夫
1
1帝京大学医学部 薬理学講座
pp.1
発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101109
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- 文献概要
私たちの体は,規則正しいリズムで働いている。朝が来れば,睡眠から覚醒へと移る脳。と同時に,血圧や体温,ホルモン分泌が調整される。体の各部は適切なタイミングで機能し,私たちの活動を支えている。チリの落盤事故でもわかったように,日の光が届かない地下700mの空間の1日も,ちゃんと調整すれば,地上の1日と変わることがなかった。
体のどこかに時を刻む「時計」があるに違いない。そう科学者は思い,昔から探し続けてきた。近年,そうした研究の成果が実を結び,体内時計の謎が少しずつ明らかになってきている。リズムを刻む時計を個々の細胞が持っていることがわかり,そのメカニズムに関係するタンパク質の反応も見えてきた。また,各細胞が持つ時計の時刻を調整する基本となる時計,中枢時計の存在も。そして,この時計のリズムの微妙なずれが,生体にさまざまな影響を及ぼすこともわかってきた。
本稿では,これまでの体内時計研究の歴史,メカニズム,そして病気との関連を概説する。
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