徹底分析シリーズ 遺伝子多型と麻酔
遺伝子多型とPONV:発生機序も予防薬物への反応も人それぞれ
中川 雅史
1
NAKAGAWA, Masashi
1
1社会保険紀南病院 麻酔科
pp.762-765
発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100995
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術後悪心・嘔吐(PONV)は,術後合併症のなかでも頻度の高い,不快な合併症の代表である。その対策の第一歩として,危険因子は広く研究されている。表1に主な因子を示す1)。これらのうちの患者因子の“若年”を除いた3個とオピオイド使用を合わせた4個の因子が,0~1個の場合を低リスク,2個を中等度リスク,3~4個を高リスク群として扱っている2)。
PONVの対策として,麻酔法や予防薬,レスキュー薬など,いろいろ試されてきた。単独の対策でも,それなりに効果は認められている3)(表2)。さらに同論文で同じ麻酔法でも使用制吐剤の種類を増やすことでPONVの発生率を下げることが示されている。
これらを受け,著者らはPONV予防には安全で安い薬を使うべきで,低リスク群には予防なし,中等度リスク群には予防薬1剤使用,高リスク群には複数の予防薬の使用を推奨している3)。しかし,必ずしも満足のいく結果は得られてはいないのが現状である。
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