徹底分析シリーズ 遺伝子多型と麻酔
遺伝子多型と出血・凝固:出血が止まらないのは理由がある!?
篠田 重男
1
,
志賀 俊哉
1
SHINODA, Shigeo
1
,
SHIGA, Toshiya
1
1国際医療福祉大学/化学療法研究所附属病院 麻酔科
pp.750-754
発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100993
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術前の血液生化学所見では異常がみられないのに,人工心肺離脱後,プロタミンで拮抗した後も出血が止まらず,麻酔科のせいにされたことはないだろうか。活性化凝固時間(ACT)を測り直したり,線溶阻害薬を追加投与したり,新鮮凍結血漿や血小板を投与しても止血が困難で,外科医と麻酔科医はお互いに「オレのせいじゃない,早くなんとかしてくれよ」と思い,次第に険悪なムードとなっていく…。
人工心肺(CPB)を用いる心臓手術では,術中・術後出血が特に大きな問題となる。術中輸血は生命予後や疾病予後の独立したリスクファクターでもある。CPB後の出血はさまざまな因子が関係しているが,“個人差inter-patient variability”が著しい。近年の研究で遺伝的要素が関係していることでわかってきている。
本稿では,凝固系・線溶系における遺伝子多型が,術中・術後出血にどのように影響を与えるかについて概説する。
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