徹底分析シリーズ 緊急輸血:予期しない,あるいは予想を超えた出血
巻頭言
須崎 紳一郎
pp.611
発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100964
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- 文献概要
治にいて乱を忘れず
緊急輸血のストラテジーを構築せよ
何でもない手術のはずが骨盤底に予想外の癒着があって,と手こずっているうちに静脈叢が裂けて大出血。みるみる血圧が下がる。「ノルアド出して!輸血まだ?!」「今オーダー出しました。でもセンターからくるのに20分,クロスに15分かかるそうです」エッ!「あるだけノークロスで降ろして!」「……いいんですか先生,責任取りますよね?」……緊急輸血を経験しない麻酔科医はいない。でもその場にあって慌てないためには,慌てたとしても乗り切るには,普段から対処を考えておくしかない。事前の想定と院内体制なしには異型適合血(O型血)は使えない。危機管理の要諦は“悲観的に準備し,楽観的に対応せよ”とされる。
輸血を取り巻く状況も変わっている。献血量はぎりぎり横ばい,血液センターも地域集約化が進められていて,近くのセンターが知らないうちになくなったりしている。もう「MAP血」とは言わないし,製剤単位量もいろいろある。院内在庫血はどこも常備量を減らしている。聞かれてあなたは院内常備量を答えられるだろうか。
戦略があって戦術が立てられる。まず緊急輸血のストラテジーを構築せよ。
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