徹底分析シリーズ 非常時:病院と患者とあなたを守るために
巻頭言
須崎 紳一郎
1
1武蔵野赤十字病院 救命救急センター
pp.747
発行日 2008年8月1日
Published Date 2008/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100150
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- 文献概要
医療事故の対処予防だけが「医療のリスクマネジメント」だろうか? 病院における危機管理はもっと広範だ。病院非常時はイコール災害,災害医療ならトリアージ,救護体制はどうか,DMAT派遣は…,と一足とびに話が進められる。でもちょっと待って! 消防,警察,海上保安庁など警防活動を業務としている組織ですら救助救難には専門チームを擁している。医療チームも災害現場出動にはそれなりの装備と訓練が必要であり,「とりあえず医者が出れば」何とかなるほど甘くはない。何より非常時においてすべての医療者に必須の行動は,「自分とスタッフ,患者の安全を確保すること」のはず。
もとよりシステムは高度化,情報化するほど非常時には脆弱になる。大きな病院は危険も大きい。停電時には院内LANも院内PHSも電話すら機能しないかもしれない。高層階ならエレベーターが動かない時の移動は容易ではない。
手術室・集中治療室勤務のあなた,非常電源の立ち上がり時間と供給範囲,電力容量を知っていますか。あなたのポケットの携帯電話は災害時優先回線指定を受けていますか。エレベーターに閉じこめられない自信がありますか。ME機器のアラームが一斉に鳴ったらどうしますか。
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