徹底分析シリーズ LMA・声門上器具
私の疑問に答えて!
固定する必要はありますか,またバイトブロックのようなものは必要ですか?
本田 完
1
,
浅井 隆
2
Osamu HONDA
1
,
Takashi ASAI
2
1新潟医療生活協同組合木戸病院
2関西医科大学 麻酔科学講座
pp.781-785
発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100727
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■LMAは粘着テープできちんと,気管チューブ挿入後の固定と同様に固定しよう
LMAの使用者が,おのおのの熟練度と嗜好に合った挿入方法でLMAを挿入し,特段のリークもなく,換気も十分であることを前提とし,LMAの固定をどうするかという疑問に対して,文献的な見解を述べ,次に経験上からの私見を述べる。
■必要なものにはバイトブロックをし,固定もしっかりとしよう
バイトブロックをしていないと…
まずは,過去に聞いたこんな苦い経験談をみてください。
10代の女性が開腹卵巣腫瘍摘出術を,硬膜外麻酔と全身麻酔下に受けることになりました。担当麻酔科医は全身麻酔を導入後,Classicを挿入し,バイトブロックとともにテープでしっかり固定をして,調節換気を開始しました。順調な手術の後,担当医は麻酔薬の投与を終了し,LMAを固定していたテープをはずし,覚醒を待ちました。自発呼吸が回復した数分後に突然の咳き込みとともに,バイトブロックが吐き出され,チューブを強く噛まれてしまいました。バイトブロックは再挿入できず,シーソー呼吸状となり,酸素飽和度も急速に低下しました。慌てて筋弛緩薬を投与したところ,気道閉塞は解除されました。しかし,LMAのチューブからピンク色の泡が大量に噴出してきたため,緊急の気管挿管をしました。胸部X線撮影により,閉塞性肺水腫が確認されました。
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