私のインターン生活
あるバイト
勝呂 徹
1
1熊大付属病院
pp.1144
発行日 1966年8月10日
Published Date 1966/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201430
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「あるバイト」とは変な題名だが,これは熊本大学研修医が発刊している新聞の名称である。アルバイトを洒落てつけたものであろうが,命名者によると「勉強する」という意味であるという。作つた目的は,われわれの仲間に起こる日常のできごと,アルバイトなどの体験談などを全員に知らせる目的であつたのであろうが,最近は内容も豊富でなく,出版責任者も気おちしたのか,一月近くとぎれている。そこでこれに提供した話題の中から小生の体験談を披露しよう。
時は初夏,熊本の夏は非常にむし暑い。研修医ルームの一台しかない扇風機の前には,いつものごとく四,五人たむろして雑談をやつている。そこへ友人がやつて来て,病院の宿直をたのまれた。主体は結核療養所,その他内科,外科,整形外科の診療もやつている。二百床程の病院であるとのこと。交通の便が非常に悪い。午後五時半の終バスにおくれた。しかたなく他方面行きのバスにゆられて三十分。ここよりテクテクと歩きだした。十分もすれば緑につつまれた郊外にでる熊本のこと。日暮に近い田んぼでは,のこりの田植をいそぐ農夫がセカセカと働いている。しばしあたりを見まわして,道を定めてまた歩きだした。通り過ぎる自動車にむせびながら七時頃病院にたどりついた。
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