徹底分析シリーズ 脳外科手術のControversies―2
術後疼痛管理はいかに行うか?
山口 敬介
1
,
井関 雅子
1
Keisuke YAMAGUCHI
1
,
Masako IZEKI
1
1順天堂大学医学部 麻酔科学・ペインクリニック講座
pp.620-624
発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100689
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術後痛は手術によって生じた局所の組織損傷による炎症性反応であり,手術を行えば必然的に生じるものである。術後痛に対し以前は,患者が痛みを訴えたときに鎮痛薬を投与するという方法が中心であった。しかし,積極的な術後鎮痛を行うことにより術後の呼吸器系,循環器系の合併症を予防し,早期離床,早期退院が可能になってきた。術中からの鎮痛を考慮した麻酔管理と,術後も引き続き適切な疼痛管理を行うことが手術患者の予後やQOL向上という点で重要であり,最近では自己調節鎮痛patient controlled analgesia(PCA)が普及し,患者の満足度を向上させている。
一方,脳神経外科手術の術後鎮痛に関する報告は意外に少ない。脳神経外科医は手術,麻酔が終了するとすみやかに意識晴明な状態に回復することを望む場合が多く,われわれ麻酔科医も鎮静の副作用があるオピオイド系の薬物を術後鎮痛の使用に慎重であり,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の頓用程度にとどめられていることが多いのではないだろうか。
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