徹底分析シリーズ 区域麻酔のControversies
硬膜外投与の局所麻酔薬に,ほかの薬を混ぜてよいか
笠羽 敏治
1
Toshiharu KASABA
1
1国立病院機構函館病院 麻酔科
pp.220-225
発行日 2009年3月1日
Published Date 2009/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100605
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局所麻酔薬にほかの薬を混ぜて投与するのは,局所麻酔薬単独では十分な鎮痛を行うことができない場合や,混合する薬との相乗効果,相互の薬の副作用の軽減を期待して投与する。疼痛に関する受容体が脊髄にあるなら硬膜外投与された薬は直接脊髄に作用し,全身作用の問題点を軽減できる。局所麻酔薬にほかの薬を混ぜて投与する場合は,混合する薬が硬膜外投与で安全なことはもとより,誤ってくも膜下腔に投与されることがあるので,くも膜下腔に投与されても安全性が確かめられていることが必要になる(コラム1)。つまり,安全性と有効性の点から満足すべき結果が得られていなければならない。
わが国で硬膜外投与が認められているのは,モルヒネとフェンタニルである。しかしながら,モルヒネ,フェンタニルのほかに,アドレナリンや非麻薬性のブプレノルフィンの混合も行われている。他方,ケタミン,クロニジン,ネオスチグミン,ミダゾラムなどの薬についても数多く報告されており,近年,ガバペンチンの動物実験の報告もある(コラム2)。多くの薬が試みられるのは,術後痛・慢性痛・癌性疼痛などでは局所麻酔薬だけで満足できる効果が得られないためでもある。
本稿では,質の高い鎮痛を求めて混合する薬について,個別に,安全性と有効性の点から考えてみたい。
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