徹底分析シリーズ 輸液管理:病態と輸液剤の選択
消化管大手術の麻酔管理:不感蒸泄やサードスペースを考慮した輸液管理を見直そう
高橋 和伸
1
,
山蔭 道明
1
Kazunobu TAKAHASHI
1
,
Michiaki YAMAKAGE
1
1札幌医科大学医学部 麻酔学講座
pp.146-149
発行日 2009年2月1日
Published Date 2009/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100590
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われわれ麻酔科医は,研修医の頃,脳外科の手術では輸液を少なく,一方,開腹術ではサードスペースや不感蒸泄を考慮して多めの輸液を心がけるよう教育された。この考えは間違ってはいないが,これは血管外に大量に漏れ出る晶質液のみで管理する場合の考え方であり,この考えに従えば,長時間に及ぶ開腹手術では腸管浮腫のため閉腹が難しくなる。
最近,上手に人工膠質液を使ったり,昇圧薬を併用したりすることで,術後の回復がよくなるとする報告が相次いで発表された。その疑念(restricted fluid therapy)については前号でも述べたところであるが,今一度,大手術時の輸液剤の間質への水分移動について整理してみよう。
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