徹底分析シリーズ 高齢者の大腿骨頸部・転子部骨折
手術,すぐやるべきか,待つべきか?そこは思案のしどころぞ
志賀 俊哉
1
Toshiya SHIGA
1
1東邦大学医療センター大橋病院 麻酔科
pp.1176-1180
発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100538
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日本では,高齢者の大腿骨頸部・転子部骨折は急患とは見なされないようだ。急性大動脈解離や緊急帝王切開より優先順位が低いのは当然としても,定時で組まれていた場合にも,他科の都合で後回しにされることもある。
高齢者は大抵,いくつか合併症を持っている(comorbidity)。合併症のコントロールがイマイチだったり,術前検査の漏れがあると,なかなか手術を受けない指導医もいる。挙句の果て,「麻酔科医がいないから,自分たちで局麻でやってよ!」などと整形外科医に言ったりする。
大腿骨頸部・転子部骨折は,急患ではないのだろうか。受傷から何日以内に手術を行うのがベストなのだろうか。手術の遅れはアウトカム(生命予後や疾病予後)に影響しないのだろうか。手術の優先順位は麻酔科医が深く関与する部分でもある。
本稿では,海外とわが国のガイドライン,および筆者の解析データから,手術を行うタイミングについて考えてみる。
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