症例検討 ダメージコントロール
閉創の工夫と腹部コンパートメント症候群
久志本 成樹
1
Shigeki KUSHIMOTO
1
1日本医科大学 救急医学教室
pp.564-575
発行日 2007年6月1日
Published Date 2007/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100341
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大量出血を伴う重症外傷に対する治療法としてのダメージコントロールdamage control(DC)の概念の確立と腹部コンパートメント症候群abdominal compartment syndrome(ACS)の病態の把握は外傷治療を大きく変えた。そして,これらの概念と治療法は非外傷性病態に対しても応用され,急性期治療の展開に変革をもたらした1~5)。しかしながら,DCの展開に伴い,比較的長期にわたる腹部の手術創の開放管理open abdominal management(OAM)とACSという大きな問題が生じている。
本稿では,ダメージコントロールサージャリーdamage control surgery(DCS)後の閉創の工夫とともに,ACSの病態と治療法を概説する。閉創法に関しては,①初回施行時の閉腹法,②筋膜閉鎖あるいは植皮による創閉鎖(planned ventral hernia)までの管理法,③筋膜閉鎖あるいは植皮による閉創法などについて解説し,筆者らの現在行っている管理法を述べる。ACSについては,World Society of Abdominal Compartment Syndrome(WSACS)による定義と推奨を中心に概説する。
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