小さな工夫
ポート孔ヘルニアを予防する閉創の工夫
西村 謙一
1
,
雑賀 隆史
1
Kenichi Nishimura
1
,
Takashi Saika
1
1愛媛大学医学部附属病院泌尿器科
pp.858-859
発行日 2019年10月20日
Published Date 2019/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413206741
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本邦では,2014年に骨盤臓器脱に対して腹腔鏡下腟仙骨固定術(laparoscopic sacrocolpopexy : LSC)が保険適用となり,当院でも2016年2月〜2019年3月に83例を施行した.LSCにおけるポート位置は,臍上にカメラポート(12mm),左腸骨稜より3横指臍よりに術者左手ポート(12mm),恥骨と臍の中点やや右よりに術者右手ポート(5mm),右腸骨稜より4横指臍よりに助手用ポート(5mm)を留置している.
そのなかで,術者左手12mmポート創から腸管の脱出を2例(2.6%)経験した.1例は他院で徒手整復され,その後再発は認めていない.もう1例は腹腔内より筋膜前鞘下に小腸が嵌頓し,小腸切除術とヘルニア根治術を要した.ポート孔ヘルニアの頻度は,腹腔鏡手術症例全体の0.04〜4.0%と報告されており,諸家の報告と同等の結果となっている1).ポート孔ヘルニアの原因として,①トロッカーの鋭角な穿刺と手術操作によるポート孔の開大,②手術中のポートの滑脱と再挿入に伴う筋膜の損傷,③ポート孔の不十分な閉鎖,④骨盤臓器脱患者特有の組織の脆弱性が考えられる.
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