症例検討 病棟における気道確保と緊急気管挿管
巻頭言
落合 亮一
pp.339
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100285
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- 文献概要
入院患者が急変した際に,救命のために緊急気管挿管を必要とすることがある。現在も気管挿管は気道確保の手技として標準的な方法である。しかし,気管挿管を行った場合には,毎日が人工呼吸器関連肺炎(VAP)との戦いであり,早期離脱・抜管を目指して努力を行わなければならない。それほどに,気管挿管に伴うVAPの発生は急性呼吸不全の予後に影響することが明らかとなっている。
一方,最初からVAPを嫌って,気管挿管を行わないというアプローチが当然考えられる。NPPVの登場である。気管挿管のうえ管理した場合よりも,NPPVを用いたほうが明らかに(EBM的に)予後の改善することが示された病態がある。COPDの急性増悪と心原性肺水腫である。こうした病態では,第一選択はNPPVであるが,NPPVも完全ではない。無視できないパーセントの患者は気管挿管を必要とする。
今月の症例検討では,NPPVを試みたがうまくいかない例や,誤嚥や窒息など,上気道閉塞のリスクを考えなければならない例を取り上げた。当直の深夜に病棟で遭遇したくない“チョット厄介”な症例検討ともいえる。おなじみの筆者には,緊急気管挿管を軸に,NPPVや気道確保の方法,さらには緊急的気道確保に際して,病院にはどのような体制が必要なのか,など広範なお話しをお願いしている。明日からの臨床にお役に立てるものと確信している。
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