症例検討 気道確保が困難な症例
巻頭言
落合 亮一
pp.999
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100440
- 販売していません
- 文献概要
気道確保ができない!――麻酔科医にとっての悪夢である。麻酔導入までは自発呼吸で何の問題もなかったのに,意識が消失したとたんに気道の確保ができない。みるみるうちにSpO2が下がり,アラームが鳴り響く。見回しても手術室には新人の看護師が一人いるだけ。不用意に麻酔の導入を行った自分を呪うしかない。
術前の診察では,何の異常も発見できなかった症例でも起こる可能性があり,常日頃,こうした事態への体制を整備することが最も重要である。その意味でも,病的肥満や頭頸部の外傷など,気道確保が困難であることを予想できる症例に万全の体制でのぞむ必要がある。
本症例検討では,気道確保困難が予想可能な症例を用意した。特に解剖学的な異常をテーマに,頭頸部手術の術後,先天異常ならびに腫瘍による気道圧迫,さらには炎症性の上気道閉塞にチャレンジする。いずれの症例も,一筋縄ではいかない応用問題ともいえる。最悪の状況に何を考え,どのようなステップで難問をクリアするのか。ベテラン諸氏の危機管理の哲学を学ぼうではないか。
Copyright © 2007, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.