症例検討 冠動脈疾患患者の麻酔
薬物抵抗性冠攣縮:周術期の機械的循環補助の適応と禁忌を考える
藤井 崇
1
,
林 行雄
2
Takashi FUJII
1
,
Yukio HAYASHI
2
1大阪労災病院 麻酔科
2大阪大学医学部附属病院 麻酔科
pp.920-925
発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100196
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症例
56歳の男性。身長167cm,体重72kg。肝臓癌に対して肝部分切除が予定された。術前合併症としては糖尿病を認めたが,経口糖尿病薬によりよくコントロールされていた。術前心電図も正常であった。麻酔は全身麻酔および硬膜外麻酔で施行した。腫瘍の進展が広範で,切除に際して下大静脈のテーピングが必要だったため,心膜を一部切除した。閉腹のため腹腔内を生理食塩液で洗浄している際に突然心電図上ST上昇と血圧の高度低下を認めた。
経過
ニトログリセリンの投与によりすみやかに改善し,持続投与も開始した。しかしST上昇は10分後に再発しそのまま心室頻拍に移行した。
経過
術野での心臓マッサージおよびリドカイン,冠拡張薬の増量により回復したが,10分後,三たび,ST上昇から心室頻拍に移行した。同様の蘇生処置を繰り返しながら循環器内科をコールし,術野の右鼠径部よりIABP(intraaortic balloon counterpulsation)を挿入し作動させた。
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